高齢市民が活躍するための社会技術研究会 講演会














































器具を利用したリハビリテーション

タキザワ式リハビリテーション

1、訓練時には決して無理をさせず、痛みや強い疲労感の残らないようにリハビリテーション(以下リハビリ)を行う。リハビリ開始後5年を経過した慢性期でも改善した例もあるので、患者に治る自信と治す意欲を持たせながら、根気よく行う。

2、リハビリは出来るだけ早期から始める。

3、ベッド上ではじょく創予防、関節の拘縮、変形の予防を主としてクッションを利用した良肢位保持、体位変換を行う。同時に筋力増強と関節可動域保持を目的に徒手によるリハビリを行う。座位を保持するために、ギャジベッドで徐々に起こしていき、座位が取れるようにする。

4、座位が取れるようになったら、車椅子座位のまま体幹や上下肢の筋力増強を図る運動を上肢訓練器や下肢訓練器などの器具を利用して行う。器具利用により、残存している筋力、特に脳卒中では健側の筋力を利用し患側の自動介助運動(良い側の運動で悪い側を動かす)を行う。

5、回復し得ない機能については適切な補装具を利用する。

6、こうしたリハビリにより自立歩行が可能となる例が多い。3年間のリハビリにより特例許可老人病院において約200人の寝たきり患者から50人以上が歩行可能となった。平成6年中のリハビリ患者は12月末の時点では、99才から47才まで193名で平均年齢は81才、女性137人、男性56人であった。リハ室では126名がリハビリを行い、ベッドでは67名である。リハ室でリハビリを行つている患者の内、単独歩行は9名、杖歩行は7名、四輪型歩行器歩行が3名、新型歩行器歩行が11名、平行棒内歩行が29名と合わせて58名が歩行可能である。また立位のみ可能な患者は15名で、不能な患者は53名となっている。

症例集はシビル出版(星雲社)より「寝たきり老人を歩かせる」として上梓されており、また厚生省大臣官房障害福祉推進室から片石修三専門官のご視察があった。
(御校閲をいただいた福井圀彦先生に深甚なる謝意を表します。)